投資・資産運用の王道といわれる長期・分散・積立という基準で見たときに、インデックス投資は王道といえるのか?
今回はこれを考えてみたいと思います。
銘柄の分散
インデックスファンドは市場の全銘柄もしくは広範な銘柄で構成られており、そのインデックスファンドへの投資を前提とするインデックス投資は「分散」という条件は問題なくクリアしていると言えるでしょう。
広範な銘柄に分散することで、個別リスクと市場リスクのうち個別リスクを低減させ市場リスクのみにするというリスク低減効果があります。
積立購入
まとまった資金で一気にインデックスファンドを購入しそれを保有し続けるというのもインデックス投資といえるのかもしれませんが、私も含めた多くの方はコツコツとインデックスファンドを積み立て購入するというやり方を選ぶのではないでしょうか。
というのも、纏まったお金が貯まるまで待っていたのではその後の投資に使える時間が短くなってしまうからです。
では積み立て購入の意味やメリットを見ていきましょう。
時間的分散
インデックス投資の元々の考え方の中にどの銘柄が値上がりするか分からないのであればすべての銘柄を買えばいいというものがありました。それと同じでファンドを購入しようという時にその時の価格が高いのか安いのか分からないのであれば、時間を分けて買えばよいというわけです。
こうすることで安いところで大量購入するという大当たりがない代わりに、高いところで大量購入する(いわゆる高値掴み)を避けることが出来ます。
ドルコスト平均法
積立購入には時間的分散の効果だけではなくそれ以上のメリットがあります。
それはドルコスト平均法(定期的に一定の金額の積立購入をすること)というものです。
ドルコスト平均法のメリットは、毎回同じ金額分のファンドを購入するので、ファンドの価格が高いときは少ない口数を、ファンドの価格が安い時には多くの口数を購入することになり、その結果平均取得単価が平均価格よりも必然的に安くなるというものです。
例として1月2月3月のファンドの価格が100円、50円、60円だった時に、毎月300円づつファンドを購入すると仮定しましょう。
1月 | 2月 | 3月 | 平均価格 | |
価格 | 100円 | 50円 | 60円 | 70円 |
平均取得単価 | ||||
購入口数 | 3口 | 6口 | 5口 | 64.3円 |
上図で分かるように平均価格が70円なのに対し、平均取得単価は900円÷14口=64.3円と平均価格よりも安くなっています。
長期保有
インデックス投資は元々バイ&ホールドと言われるように、一度購入したら持ち続けるというのが前提になっているので、王道条件の長期という点でもクリアしてると言えるでしょう。
ではなぜ長期保有するのかその理由を見ていきましょう。
理由①上昇相場を逃さない
市場の値動き(いつ上昇するのか、いつ下落するのか)というのは誰にもわかりません。
いつ上昇するか分からないのであれば、ずっと保有し続ければいいじゃないかということです。どの銘柄が上昇するか分からないのであれば全部を買えばいいじゃないかというのと似ていますね。
チャールズ・エリスの「敗者のゲーム」によると、S&P500の過去75年のデータを分析しところ、その間の株式リターンの大部分は上昇率のベスト60か月に達成されていたというのです。
つまり75年(=900か月)のうちの60か月というわずか6.7%の期間の上層相場を取り逃しただけで75年間のリターンの大部分を失ってしまうということです。
わずか6.7%の上昇相場のタイミングを見逃さない、そのようなことが可能でしょうか?
私には出来そうにありませんので、ずっと保有し続けるというやり方を選択します。
ただ最後に付け加えておくと、上昇相場を逃さないということは同時に下落相場からも逃れられないということではあります。
理由②長期的な世界経済の成長を信じる
ある国の経済であったり世界の経済は、長期的に見れば右肩上がりに成長するという資本主義の力を信じるということです。
ベンジャミン・グレアムの有名な言葉に「株式市場は短期的には投票機に過ぎないが、長期的には測量機である」というものがあります。
株式市場の短期の値動きというのは単なる人気投票でしかないが、長期で見るとその企業の本質的価値を正確に測定することが出来るという意味です。
世界経済が成長し、その成長した本質的価値に市場の価格が収斂していくのを待ちながら長期保有を続けましょうということです。
理由③課税繰り延べ効果
値上がり益がある場合、ファンドを売却して利益を確定すると課税されてしまいます。
ところが長期保有し売却せず利益を確定しなければ課税されることはありません。
いずれ課税されるのだからいつ課税されても同じではないかとお考えの方もいるかもしれませんが、それは違います。
課税が繰り延べられるということはその分の金額を国から無利子で融資されてるのと同じことなのです。無利子で借りたお金を投資に回すことが出来ている状態ということです。
しかもこのお金はいずれ払うことになる税金ですから借金ではありません。
無利子ノーリスクで融資を受けたお金で投資ができるのと同じ効果を持つ課税繰り延べの効果は地味ですが見過ごすことはできません。
まとめ
幅広い銘柄に分散されたインデックスファンドに投資する
積立購入によって時間的分散の効果とドルコスト平均法の効果が得られる。
長期保有のよって上昇相場を逃さず、世界経済の成長の恩恵にあずかることが出来る。
このようにインデックス投資は、王道といわれる長期・分散・積立の要件を満たしています。
それだけではなくこれらのことを低コストで可能にしているのです。
以前にもお話ししましたが投資家が得られるリターンは、市場からもたらされるリターンからコストを引いたものになります。
従ってコストが低いというのは長期投資にとってはとても重要なことです。
王道の3要件を満たしさらには低コストであるインデックス投資は、まさに投資の王道といっても過言ではないでしょう。
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