アクティブファンドとの比較

市場からのリターンとコスト インデックス投資

前回の記事で、素人がプロの機関投資家に戦いを挑んで市場平均以上の超過リターンを獲得しようとするのは無謀だとお話ししました。

それでは自分でやるのではなくプロにお願いして、つまりプロの機関投資家が運用するアクティブファンドに投資して超過リターンを狙うというのはどうでしょうか?

今回はこの件について見てみましょう。

アクティブ⇔パッシブ

インデックスファンドはパッシブファンドとも呼ばれています。市場の値動きに連動する、つまり市場の動きに身を任せるというところからパッシブ(受け身)と呼ばれるわけです。インデックスファンドは連動する株価指数と同じ銘柄を保有し続けるだけなので、基本的に銘柄の入れ替えは行いません。

それに対してアクティブファンドはその名の通り、綿密なリサーチに基ずく様々な銘柄選択やマーケットタイミングの手法を使って積極的に売買を行い構成銘柄の入れ替えを頻繁に行います。

比較して見た結果

S&P500ダウジョーンズインデックスが発行しているSPIVA(S&P Indices versus Active report)スコアカードというものがあり、その中でアクティブファンドとベンチマークとなる指数(インデックス)とのパフォーマンスの比較が掲載されています。

その2019年中期のレポートによると、大型株のアクティブファンドとS&P500の比較においてS&P500のリターンを下回った割合は直近1年で69.86%、3年だと70.74%、5年だと78.59%、10年だと88.05%、15年だと89.83%となっています。

これはあくまでインデックス(この場合はS&P500)との比較であってインデックスファンドとの比較ではありませんが、非常にコストの安いインデックスファンドの場合、対象インデックスとほぼ変わらないリターンになることから、低コストのインデックスファンドと比較した場合でもこれに近い結果になると思われます。

なぜアクティブファンドはインデックス(≒インデックスファンド)に勝てないのか?

その答えはコストです。

アイキャッチ画像を見てもらえばお分かりいただけると思いますが、投資家が獲得するリターンは市場がもたらすリターンからコストを引いたものになります。

「投資家が獲得するリターン」     

市場からのリターン」-「コスト」

従ってコストが高くなればなるほど投資家が獲得するリターンは小さくなるのです。

アクティブファンドはインデックスファンドに比べて構造的にコストが高くなってしまうため、仮にコスト控除前にはインデックス(≒インデックスファンド)と同等のリターンであったとしてもコスト控除後の最終的なリターンではインデックスファンドに負けてしまうのです。

そのコストの内訳を見ていきましょう。

コスト① 信託報酬

信託報酬というのは投資家がファンドを保有している間ずっと負担するコストで、年率OO%という形で発生します。

アクティブファンドの信託報酬は一般的に1から2%ほどで、平均1.5%ほどです。

因みに一番コストの低い優良なインデックスファンドの信託報酬は0.1~0.2%ほどです。

コスト② 売買コスト

アクティブファンドはその名の通り積極的に銘柄の入れ替えを行うので、そのたびに売買コストが発生します。 またファンドの規模が大きい場合、ファンドの売買それ自体によって株価が変動し購入価格が割高になったり、売却価格が割安になるというマーケットインパクトコストが発生するケースもあります。

因みに、インデックスファンドは対象となる指数と同じ構成銘柄をただ保有し続けるだけなので、殆ど売買を行わず売買コストは殆ど掛かりません。

コスト③ 税金

株の売買を行い利益を確定すると税金が発生します。

アクティブファンドのように頻繁に売買を行うと利益が確定するたびに税金を払わなくてはいけなくなります。

それに対してインデックスファンドは基本的に売買を行いませんので、税金もほぼ発生しないということになります。

最後の難関

以上のように高コストというハンデを背負っているが故にインデックス(≒インデックスファンド)を上回る成績を出しにくいアクティブファンドではありますが、少数ながらインデックスファンドを上回る成績を出すものもあります。

だったらそのアクティブファンド投資すればいいじゃないかとお考えかもしれませんが、そこに最後の難関が立ち塞がります。

それは、インデックスファンドを上回る成績を残すアクティブファンドを事前に知ることは不可能だということです。

しかもアクティブファンドがインデックスファンドを上回る成績を残すのは短期間であることが多く継続することはほぼありません。

つまりインデックスファンドを上回る成績を残すアクティブファンドをコンスタントに的中させ好成績のファンドを渡り歩かなければいけないということになります。

結論

以上のようなことから、アクティブファンドに投資を行って市場平均以上のリターンを狙うというのはかなり難しいと思われます。

多くの時間と労力をかけて良い成績を残しそうなアクティブファンドの銘柄選択をするよりも、インデックスファンドに投資するほうが、楽なうえに確実に市場平均のリターンが獲得でき、その結果ほとんどのアクティブファンドを上回るパフォーマンスをあげられるのですから、こちらのほうを私は選択します。

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