市場の広範に分散されたインデックスファンドは個別リスクを低減させほぼ市場リスクのみにできるとはいえ、市場全体が大きく下落する暴落局面ではその影響を大きく受けてしまいます。
そのインデックスファンドに投資するインデックス投資も当然同じです。
ではインデックス投資は暴落を避けることはできないのでしょうか?
今回はこのことについて考えてみたいと思います。
対策①いったん売却して後に買い戻す。
まず初めに誰しも考えるのが、いったんファンドを売却して下落後の底値付近で買い戻すという作戦です。
このやり方は果たしてうまくいくでしょうか?
問題点①いつ暴落するか分からない
この作戦で最初にぶつかる壁はいつ暴落が起きるのかがわからないということです。
暴落が起きると思っていったん売却したものの暴落が起きることなくそのまま上昇を続けて慌てて買い戻すというこになりかねません。
もし仮に含み益があった場合、売却したときに利益を確定してしまうこととなり課税されてしまいます。
そうなると買い戻すための資金は売却で得られた資金よりも支払った税金の分だけ少なくなってしまします。
問題点②どこまで下がるかわからない
それでは実際に暴落が起きたのを確認してから売却しその後買い戻すというのはどうでしょうか?
ここでぶつかる壁はどこまで下がるか分からないというものです。
直近の高値から例えば10%下落した時点で暴落を確認したとして、ここでいったん売却して大丈夫なのかが分からないということです。
直近の高値から10%下落した時点でいったん売却したものの、その後思ったほど下がらずそれどころか上昇に転じたので慌てて買い戻しとたところ、2番底に向かって真っさかさま。こういったことがまれによく起こるのが投資の世界なんです。
まとめ
問題点①②に共通するのは短期の値動きを予想するのは不可能なのにそれをやろうとしていることです。そもそもマーケットタイミングを見計らって超過リターンを得ようとするのはアクティブ運用でインデックス投資の基本方針に反します。
インデックス運用を基本方針とする投資家はこのようなことはしないというのが賢明な判断といえるでしょう。
対策②プットオプションを使う
プットオプションとは
プットオプションというのは、あらかじめ決められた価格(その時の市場の実勢価格に近い価格)で一定期間中に「売ることができる権利」のことです。
プレミアムといわれるオプション価格を支払ってプットオプションを購入します。あくまで権利であり義務ではありませんので、期間内にその権利を行使するかどうかを選択できます。
使い方としては、大きく暴落する前にプットオプション(売る権利)を買っておき、暴落が来た場合はプットオプションの権利を行使し、暴落が来なければ権利を放棄するというものです。
大きく下落したのちにプットオプションを行使すればあらかじめ決められた価格と下落後の価格との差に応じた利益(下落幅が大きければ大きいほど多くの利益)を獲得することが出来るので、その利益によって暴落による資産価値の下落をカバーするということです。
また仮に暴落が起きなかった場合は、支払ったプレミアムは無駄になってしまいますがプットオプションの権利を行使しないということになります。従ってプットオプションの買い手が負うリスクはプレミアム価格の範囲に限定されます。
問題点①ある程度の値動きの予想が必要
プットオプションを使うにしても、いつ購入するのかいつ権利を行使するのかまたは行使しないのかといった判断が求めらます。
所有しているファンドを実際に売却する作戦①と比較すると、実際の値動きをある程度見てから権利を行使するかどうかの判断ができるという利点はあるものの、プットオプションを購入するタイミングや権利を行使するタイミングによって得られる利益が変わってきます。
従ってある程度の値動きの予想が出来ていないとプットオプション取引によって得られる利益が小さくなってしまい、結果としてあまり意味がなかったなんてことも起きてしまします。
問題点②オプション取引なので敷居が高い
オプション取引はデリバティブ取引の一種で、私を含め一般の投資家が手を出すには敷居が高いです。
日本の証券会社で扱われているオプション取引は日経225の指数に連動したものだけなので、S&P500などそれ以外の指数のオプション取引をしようとするとそれを扱っている海外の証券会社に口座を作らなければいけません。
またデリバティブ取引なので証拠金を用意しなければいけません。
まとめ
上記の通りオプション取引というのはデリバティブ取引の一種
対策③淡々とこれまで通りを継続する
淡々とこれまで通りを継続するというのは、たとえ暴落が来ても今まで通り積立購入を続けるし、もちろんファンドの売却もしないということです。
というのもインデックス投資の中に暴落のダメージを和らげる方策がすでに含まれているからです。
それがドルコスト平均法(定期定額購入)です。
以前お話ししたようにドルコスト平均法は毎回の購入金額が一定のため、ファンドの価格が高いときは少ない口数を、ファンドの価格が安いときは多くの口数を購入することになります。
従って暴落が起きた時には必然的に多くの口数を購入することになります。
ファンドに投資した際のリターンは
ファンド価格の上昇分×保有口数
で決まります。
暴落時にはこの保有口数をいつも以上に増加させ、その増えた口数の分だけ長期的に見るとリターンが増えるということです。
結論
暴落に対してファンドをいったん売却して後から買い戻すというのは短期の値動きを的確に予想する必要があり、プットオプションを使うというのもデリバティブ取引なので敷居が高いです。
それに対し淡々とこれまで通りを継続するというのは何も特別なことをしなくてもよいです。これならば誰でもできるのではないでしょうか。
確かにこのやり方は暴落を回避できてるとは言えませんが、暴落を利用して長期のリターンを高めることにより暴落のダメージを和らげてくれます。
暴落に際しては淡々とこれまで通りを継続するというのが最も賢明な姿勢のように私には思えます。
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