投資家全体で見た場合、(投資に掛かるコストを差し引く前では)株式市場がもたらす全てのリターンを獲得しています。その全リターンをすべての投資家で公平に分けたものが市場平均のリターンです。
前回の記事で、インデックス投資というのは株式市場のリターンの公平な分け前(市場平均のリターン)を獲得する投資法だとお話しましたが、 その市場平均のリターンのことです。
では市場平均以上のリターン(超過リターン)を獲得しようとした場合、そのリターンはどこからやってくるのでしょうか?
株式市場がもたらすリターンの総額は、市場に参加するすべての投資家が獲得するリターンの総額と等しくなります。また投資家間で株の売買を行っても、株が移動するだけで新たな価値が生み出されるわけではありません。
その前提で考えると、超過リターンは市場からではなく他の投資家から獲得するしかありません。平均以上のリターンを獲得する人が存在するためには平均以下リターンの人が存在しなくてはいけないという当然の原理です。
従って超過リターンを獲得するには、ポーカーや麻雀のような他の投資家と利益の奪い合いをするゲームに参加して勝利しなければいけないということです。ここで考えなければいけないのはこのゲームで戦う相手はプロの機関投資家ということです。なぜなら現在の株式市場で行われている取引の95%以上がプロの機関投資家によるものだからです。プロの機関投資家は、最高の情報機器を揃え企業経営者とも定期的に会合を持ち、優秀で勤勉なファンドマネジャーやアナリストがいる環境で投資を行っているのです。彼らを相手に勝負を挑んで果たして勝てるでしょうか?
さらに悪いことに、そのゲームに参加するためには株式の売買コストという新たなコストを負担しなければなりません、しかもこのコストはゲームに勝った場合も負けた場合も同様に負担しなければならないのです。
つまり超過リターンを獲得しようとする場合、売買コストを支払ってもなおプラスになるようなリターンをプロの機関投資家相手に勝ち取らなければいけないということです。さらに長期での資産形成を目指す場合は、それをコンスタントに継続していかなければいけないということになります。このようなことがはたして可能でしょうか?私はそうは思いません。
超過リターンを目指して無謀な戦いを挑むよりも、市場平均のリターンを確実に獲得する方法が存在するのだからそちらを選択したほうがいい。これが私がインデックス投資を選択する最大の理由です。
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