投資を行ってる方の中にはtwitterやブログ、YOU TUBE、経済新聞やビジネス雑誌などで最新の旬な投資情報を常に手に入れるようにしているという方もいらっしゃると思います。
そのような多くの時間と労力を使う努力はインデックス投資を行う上では必要ありません。それどころか有害であるとさえ言えます。
努力をしたほうが良い結果につながるという一般常識とは正反対のことなので、すぐには受け入れにくいことかもしれませんが今回はこのことについてお話ししたいと思います。
twitterやブログ、YOU TUBE、経済新聞やビジネス雑誌などで発信されている情報は大きく分けて2つのタイプがあります。銘柄選択に関する情報とマーケットタイミングに関する情報です。
では、それぞれについて見ていきましょう。
銘柄選択に関する情報
銘柄選択に関する情報というのは例えば
- 10倍株の見つけ方
- コロナで儲かる企業
- コロナ後の世界で成長するセクター
- 子会社が破産申請、親会社も危ない!?
- 億り人が教える銘柄選びのコツ
といったものです。
しかしインデックス投資においてはそもそも銘柄選択を行いません。『干し草の中から針を探そうとするな』という格言に従い、個別の銘柄ではなく市場そのものを買うというのがインデックス投資だからです。
従って銘柄選択に関する旬な投資情報はインデックス投資家には必要ありません。
マーケットタイミングに関する情報
マーケットタイミングに関する情報というのは
- SP500の買い時は〇月だ
- 2番底は〇月にやってくる。
- チャート分析でわかる買いサイン売りサイン
- 〇〇移動平均線がどーしたこーした
- ボリンジャーバンドがどーしたこーした
- ローソク足からわかる確実にもうかる5つのパターン
といったものです。
インデックス投資においてマーケットタイミングを見計らって売買することはありませんので、こちらの情報も必要ありません。
インデックス投資は株価の値動きを予想することはできないという考えを前提としているからです。株価の値動きが予想できないからこそドルコスト平均法に則って毎月一定額の購入を行い、いつ上昇相場が訪れるのか分からないからこそ一度購入したファンドを長期で保有し続けるのです。
またマーケットタイミングを見計らって売買を行ってしまうと売買手数料や譲渡益課税などが発生してしまいコストが増えてしまいます。これも低コストを目指すインデックス投資の考え方に反するものです。
ミスターマーケット
ミスターマーケットとは、かのベンジャミン・グレアムがその著書「賢明なる投資家」のなかで用いた比喩です。株式市場の気まぐれを擬人化したもので投資家を不安にさせたり過剰に強気にさせたりして、どうにかして株式の売買をさせようと誘惑してくる存在です。
ミスターマーケットはインデックス投資を含む長期投資において天敵ともいえる存在で、ミスターマーケットの誘惑に負けることなく冷静さを保てるかどうかが投資成功のカギとなります。
最新の旬な投資情報を発信するtwitterやブログ、YOU TUBEなどの情報を積極的に取りに行く行為は、ミスターマーケットの巣に自ら飛び込んでいく行為の他なりません。
twitterやブログ、YOU TUBEなどで発信される情報の接しても自らの投資方針を堅持することが出来るでしょうか?
あの株を買えば儲かりそうだとか、今は一旦売却した方がよさようだとかという誘惑に勝てるでしょうか?もし誘惑に負けて投資判断を変えてしまったら、これまでの努力が水泡に帰す可能性もあります。特に暴落時などの冷静さを失いやすいときにこういった誘惑に負け保有している株・ファンドを売却してしまうと、その時点で損失を確定させてしまい、その後の上昇相場で回復するチャンスすら失ってしまいます。
誘惑に抗うという精神的ストレスを伴うことをやるくらいなら、最初から旬の投資情報を集めなければいいのです。そうすれば情報収集にかける時間と労力を別のこと(趣味、勉強、人付き合い、社会貢献など)に使うことが出来ます。
まとめ
今回、インデックス投資家には銘柄選択に関する情報、マーケットタイミングに関する情報は必要ない、なぜならそれによって投資行動を変えることはないからという話をしました。
さらに言えば巷にあふれる銘柄選択の情報やマーケットタイミングの情報を得たからといって、投資成績が向上することはありません。なぜならそういった情報はプロのファンドマネジャーであればみんな既に知っているからです。プロのファンドマネジャーならみんなが知っている情報・知識を手に入れても彼らを出し抜くことは出来ません。市場で行われている取引の90数%は彼らプロのファンドマネジャーによって行われているので、彼らを出し抜けない以上投資成績の向上は望めないのです。
しかし、このことから次のようなことも言えます。
市場で行われている取引の90数%はプロのファンドマネジャーによって行われているということは、市場価格は市場に参加する全ファンドマネジャーの総意であり、プロのファンドマネジャーが持っている情報・知識が織り込まれたものである。その市場価格で毎月ファンドを購入しているインデックス投資家は、プロのファンドマネジャーの情報・知識を持ってファンドを購入しているのと同じことになるいうことです。プロのファンドマネジャーと同等の情報・知識に基づいて購入しているのであれば、それに劣る巷にあふれる情報によって投資行動を変えることがないというのは当然ですね。
投資情報を収集することは時間と労力を消費するだけで投資成績の向上につながらないばかりか、ミスターマーケットの誘惑の罠に自ら飛び込んでいき自らの投資方針を台無しにしてしまいかねない危険な行為と言えます。
ただしこれは様々な投資情情報を発信することを否定するものではありませんし、投資に娯楽性を求めること、一獲千金のロマンを求めることはだれにも止める権利は有りません。自分が選択した銘柄が大きく値上がりした時の喜びや、値動きの予想がズバリ的中し最高のタイミングで売買が出来た時の喜びは(そのほとんどは『まぐれ』によるものなのですが)何ものにも代えがたい大きなものがあるでしょう。なので旬な投資情報が必要ないというのはあくまでもインデックス投資家に限ったことです。
インデックス投資家に必要な情報は
- インデックス投資の本質的な理解
- 投資信託のコストに関する情報
- 利用している税制優遇制度(つみたてNISA,iDeCoなど)の情報
で十分だと考えます。
投資に対して時間と労力がほとんど必要ないというのがインデックス投資の大きなメリットです。このメリットが、投資に多くの時間を割くことが出来ないほとんどの個人投資家にとってインデックス投資が最適な投資手法であると言われる所以の一つでもあるのです。
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