リスク許容度を知る

リスク許容度のイメージ インデックス投資

前回のブログで暴落時の対処については、淡々とこれまで通りを継続するのが最も賢明な姿勢だというお話をしました。

そうするために大事なのは自らのリスク許容度を知るということです。

長期投資をする場合必ず暴落に遭遇します。

長期投資の場合少なくとも20年以上の投資期間が必要ですが、株式市場の暴落はおおむね10年に1回程度起こるからです。

リスク許容度を超えた投資をしていると暴落時に冷静さを失ってしまい、短絡的で非合理的な行動をとってしまう可能性が高まります

暴落時に冷静さを失い慌ててファンドを売却して損失を確定させてしまうというのがインデックス投資の唯一の負けパターンなので、これだけは避けなければいけません。

今回は大切なリスク許容度について考えてみましょう。

リスク許容度(広義)とは

広義のリスク許容度は、リスクをとる能力(狭義のリスク許容度)とリスクを取る意欲(リスク選好度)が合わさって決まります。

ではそれぞれを見ていきましょう。

リスクをとる能力(狭義のリスク許容度)

リスクをとる能力(狭義のリスク許容度)に影響するものとして次のようなものがあります

  • 年齢
  • 収入
  • 資産状況
  • 家族構成
  • 投資に関する知識・経験 

年齢が若ければ仮に投資の途中で大きな下落局面があったとしても、そこから価格がが回復するのを待つ時間的余裕があります。

収入や資産状況が良好であれば、急にお金が必要になって価格が下がっているときであっても投資資産を売却してお金を作らなくてはいけないというような状況を避けることが出来ます。

家族構成によっては、お子さんの学費など将来必ず払わなければいけないある種の債務があるということになります。

真のリスクは実際には実現されない市場のボラティリティ(書かう変動)という短期のリスクではなく投資しないという長期のリスクことだといった投資に関する知識・経験があれば、より適切な判断を下すことが出来たりより平常心で投資していくことが可能です。

リスクをとる意欲(リスク選好度)

リスクをとる意欲(リスク選好度)に影響するものとしては次のようなものがあります

  • 好み
  • 性格

こちらのほうは、

多少リスクが高くても大きなリターンを狙たいと思うのか、リターンは少なくてもいいからリスクを少なくしたいと思うのか

多少のことがあっても気にしないタイプか、些細なことでも気になったり落ち込んでしまうタイプか

というようなことです。

自らのリスク許容度を知る

ネットで調べると多くのリスク許容度を測定するためのテストがあり、そのテストの中に上記のような内容が含まれています。

そのテストをやってみて参考にするというのもいいかもしれませんが、最終的にリスク許容度を判定できるは自分自身しかありません。

というのもリスク許容度というのは一言でいえばどれだけ失う余裕があるかということで、その判断基準とされるのが「夜ぐっすりと眠れるかどうか」であるからです。

自分の投資資産の評価額がどのくらい減ったとしても、夜ぐっすりと寝られるかということを自分で判断しなければならないということです。

では、どの程度の評価額の下落を想定すればよいのでしょうか?

どの程度の下落を想定すればよいのか?

インデックスファンドのように広く分散されたポートフォリオのリターンは、個別株と違い対称型に分布することが知られているので、統計学的手法で値動きの幅を予測することが出来ます。

値動きを予想するときに必要になるのが過去のデータから算出される平均リターンと標準偏差です。

標準偏差というのは平均リターンからの散らばり度合いを示す値で、リスクを表す指標のひとつです。

もちろんこれらの値は自分で計算する必要はなく、ネットで調べれば各株式指数ごとの平均リターンと標準偏差は見つけることが出来ます。

一年後のリターンは、平均リターンからプラスマイナス1標準偏差以内に約68.3%の確率で収まり、プラスマイナス2標準偏差以内に約95.4%の確率で収まるということが統計学的に知られているので、これをもとに下落幅を想定します。

具体例としてS&P500で考えてみます。

過去のデータから算出される平均リターンと標準偏差をそれぞれ約9%、約15%としましょう。

その場合のS&P500の1年後のリターンは、平均リターン±1標準偏差(9±15)つまり+24%から-6%の間に約68.3%の確率で収まり、平均リターン±2標準偏差(9±30)つまり+39%から-21%の間に約95.4%の確率で収まるということになります。

従って-21%までを想定しておけばおおむね間違いはないということになります。

仮に投資額が100万円であれば-21万円、投資額が1000万円であれば-210万円ということです。

この時に自分が夜ぐっすり眠れるかどうかを想像してみて、大丈夫そうであればその投資額は自分のリスク許容度の範囲内ということになりますし、無理そうであればリスク許容度を超えているということになります。

さらに慎重な方は3標準偏差分の-36%まで想定してもいいかもしれません。99.7%の確率でこの範囲に収まりますのでほぼ間違いないと言えるでしょう。

リバランス

リバランスというのは保有する株式、債権、現金の比率を見直す良いことです。

もし現在の投資割合で想定される下落幅が自分のリスク許容度を超えていた場合は、株式の割合を減らしリスクの少ない資産に移すべきだということになります。

株式>債権>現金の順にリスクが小さくなるので、株式の割合を減らし債券または現金をの割合を増やすと資産全体のリスクを減少させることが出来ます。

もちろんリスクが減るということは当然リターンも減ってしまいますが、リスク許容度を超えた状態を放置するのは危険なので、将来のリターンを多少犠牲にしてもリバランスを行ってリスク許容度の範囲内に収まるようにすべきだと思います。

まとめ

投資を行う際は自分のリスク許容度をしっかりと見極めて、その範囲内に収まるように定期的にリバランスを行うようにしましょう。

というのが一応結論なのですが、現実としては自分のリスク許容度というのは自分でもわからないものだと思います。

暴落を経験して初めて動揺している自分に気づくというのがほとんどではないでしょう。

しかし暴落時にファンドを売却して損失を確定させてしまうというインデックス投資の唯一の負けパターンだけは避けなければいけません。

投資を始めた直後に暴落に遭遇した方は、積立額もそれほど大きくないはずなので評価損の額も小さくてむしろラッキーだくらいに考えて乗り切っていただきたいです。

またある程度の期間投資を続けてこられた後に暴落に遭遇された方は、積立額が大きくなっていてその分評価損の額も大きいと思いますが、売却しない限り実現化されることのない評価損を気にする必要はないという気持ちで、これまでの数々の困難を乗り越えて成長してきた株価指数の長期のチャートを見ながら乗り越えていただ来たいところです。

そして将来株価が回復しとところで、過去の経験を活かしながら自分のリスク許容度にあった投資割合にリバランスするというのがいいのではないでしょうか。

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