全世界株式インデックスファンド比較考察

全世界株式ファンド 投資信託

eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)

ファンドの概要

日本を含む先進国ならびに新興国の株式に投資するインデックスファンド。ベンチマークはMSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み、円換算ベース)

委託会社:三菱UFJ国際投信株式会社  受託会社:三菱UFJ信託銀行株式会社

コストの変遷

第1期第2期第3期
期間2018.10.31~2019.4.252019.4.26~2020.4.272020.4.27~
信託報酬0.15336%以内0.15336%⇒0.1296%⇒0.132%⇒0.1144%以内0.1144%以内
売買委託手数料0.007%(0.0145%)0.016%現在進行中
有価証券取引税0.021%(0.0436%)0.035%現在進行中
その他費用0.019%(0.0394%)0.039%現在進行中
実質コスト0.25086%0.24336%⇒0.2196%⇒0.222%⇒0.2044%以内

注)信託報酬は税込表示です。第2期の0.1296%⇒0.132%の部分は消費税の値上げによるものです。

注)第1期は期間が1年に満たないため売買委託手数料、有価証券取引税、その他費用については1年間に換算した参考値をカッコ内に表示しています。そのため第1期の実質コストも参考値となります。

注)eMAXIS Slim シリーズの信託報酬はファンドの純資産残高が増えるにしたがって逓減する仕組み(具体的には0~500億円までは通常の信託報酬、500億~1000億円の部分は通常より0.0005%低い信託報酬、1000億円以上の部分は通常より0.001%低い信託報酬)になっていますが、表に掛かれている数値は500億円までの部分に適応される信託報酬です。従って実際の信託報酬はこれより僅かに低いものとなります。そのため信託報酬、実質コストはOO%以内と表記しています。

ベンチマークとの差異

第1期第2期
期間2018.10.31~2019.4.252019.4.26~2020.4.27
ベンチマークとの差異△0.2%+0.3%
  • <内訳>
  • 第1期 日本株式インデックスマザーファンド +0.1%程度 
  •    外国株式インデックスマザーファンド  0%程度
  •    新興国株式インデックスマザーファンド △0.1%程度
  •    その他                △0.2%程度
  • 第2期 日本株式インデックスマザーファンド △0.1%程度 
  •    外国株式インデックスマザーファンド +0.3%程度
  •    新興国株式インデックスマザーファンド 0%
  •    その他               +0.1%程度

eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)

ファンドの概要

日本を除く先進国ならびに新興国の株式に投資するインデックスファンド、ベンチマークはMSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(除く日本、配当込み、円換算ベース)。

委託会社:三菱UFJ国際投信株式会社   受託会社:三菱UFJ信託銀行株式会社

コストの変遷

第1期第2期第3期
期間2018.3.19~2019.4.252019.4.27~2020.4.262020.4.27~
信託報酬0.15336%以内0.15336%⇒0.1296%⇒0.132%⇒0.1144%以内0.1144%以内
売買委託手数料0.015%(0.0136%)0.017%現在進行中
有価証券取引税0.038%(0.0344%)0.037%現在進行中
その他費用0.049%(0.0443%)0.040%現在進行中
実質コスト0.24556%以内0.24736%⇒0.2236%⇒0.226%⇒0.2084%以内

注)信託報酬は消費税込みのものです。第2期の0.1296%⇒0.132%の部分は消費税の値上げによるものです。

注)第1期は期間が1年を超えるため、期間一年に換算した参考値をカッコ内に示しています。従って第1期の実質コストも参考値となります。

注)eMAXIS Slim シリーズの信託報酬はファンドの純資産残高が増えるにしたがって逓減する仕組み(具体的には0~500億円までは通常の信託報酬、500億~1000億円の部分は通常より0.0005%低い信託報酬、1000億円以上の部分は通常より0.001%低い信託報酬)になっていますが、表に掛かれている数値は500億円までの部分に適応される信託報酬です。従って実際の信託報酬はこれより僅かに低いものとなります。そのため信託報酬、実質コストはOO%以内と表記しています。

ベンチマークとの差異

第1期第2期
期間2018.3.19~2019.4.252019.4.27~2020.4.26
ベンチマークとの差異+2.3%(△0.3%)+0.3%
  • <内訳>
  • 第1期 外国株式インデックスマザーファンド  +2.3%程度
  •    新興国株式インデックスマザーファンド +0.3%程度
  •    その他                △0.3%程度
  • 注)第1期はベンチマークとの配当を含まないものを使用していたため配当の分だけプラスの差異が発生したと考えられます。配当によるプラス要因を除くとベンチマークとの差異は△0.3%となります。カッコ内に示した△0.3%はこの値です。第2期以降は配当込みのベンチマークを使用しているのでこの問題は発生しません。
  • 第2期 外国株式インデックスマザーファンド  +0.4%程度
  •    新興国株式インデックスマザーファンド  0.0%程度
  •    その他                △0.1%程度

SBI・全世界株式インデックス・ファンド

ファンドの概要

3つのETFを通じて日本を含む全世界の株式市場の動きに連動した投資成果を目指すインデックスファンド。ベンチマークはFTSEグローバル・オールキャップ・インデックス(円換算ベース)

委託会社:SBIアセットマネジメント株式会社 受託会社:株式会社りそな銀行

投資先ETFは以下の通りです。

  • シュワブ U.S. ブロードマーケットETF
  • SPDR ポートフォリオ・ディベロップド。ワールド(除く米国)ETF
  • SPDR ポートフォリオ・エマージングマーケッツETF

コストの変遷

第1期第2期第3期
期間2017.12.6~2018.11.122018.11.13~2019.11.122019.11.13~2020.11.12
信託報酬0.108%0.108%⇒0.06696%⇒0.0682%0.0682%
売買委託手数料0.079%(0.0846%)0.041%0
有価証券取引税000
その他費用0.101%(0.108%)0.046%0.023
ETFの信託報酬0.042%程度0.042%程度0.042程度
実質コスト0.323%(0.3426%)0.237%⇒0.19596%⇒0.1972%0.1332%

注)表示は消費税込みのものです。第2期の信託報酬0.06696%⇒0.0682%の部分は消費税引き上げによるものです。

注)第1期は期間が1年未満なので、1年に期間補正した参考値をカッコ内に表記しています。

注)ETFの信託報酬については3つのETFに基本投資割合で投資した場合の値となります。従って投資割合が変化した場合は変わってきますので「程度」と表記しています。

ベンチマークとの差異

第1期第2期第3期
期間2017.12.6~2018.11.122018.11.13~2019.11.122019.11.13~2020.11.12
ベンチマークとの差異△1.2%△0.4%+0.4%

楽天・バンガード(全世界株式)インデックスファンド

ファンドの概要

バンガードが運用する「バンガードⓇトータルワールドストックETF」を通じて全世界(日本を含む)の株式市場に連動する運用を目指すインデックスファンド。ベンチマークはFTSEグローバル・オールキャップ・インデックス(円換算ベース)

委託会社:楽天投信投資顧問株式会社  受託会社:三井住友信託銀行株式会社 

コストの変遷

第1期第2期第3期第4期
期間2017.9.29~2018.7.172018.7.18~2019.7.162019.7.17~2020.7.152020.7.16~2021.7.15
信託報酬0.1296%0.1296%0.1296%⇒0.132%0.132%
売買委託手数料0.167%(0.207%)0.049%0.02%現在進行中
有価証券取引税00%0%現在進行中
その他費用0.039%(0.048%)0.03%0.029%現在進行中
ETFの信託報酬0.10%0.10%⇒0.09%0.09%⇒0.08%0.08%
実質コスト0.4356%(0.4846%)0.3086%⇒0.2986%0.2686%⇒0.271%⇒0.261%

注)表示は消費税込みのものです。第3期の信託報酬0.1296⇒0.132%の部分は消費税引き上げによるものです。

注)第1期は期間が1年未満なので、1年に期間補正した参考値をカッコ内に表記しています。

ベンチマークとの差異

第1期第2期第3期第4期
期間2017.9.29~2018.7.172018.7.18~2019.7.162019.7.17~2020.7.152020.7.16~2021.7.15
ベンチマークとの差異△1.6%△0.6%△0.1%現在進行中

4ファンドの比較

ファンドの仕組み

まずはポートフォリオ自前型の2つを見ていきましょう。eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)は3つのマザーファンド、eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)は2つのマザーファンドを使って株式に投資する形になっています。この場合各マザーファンドが株式を保有している、つまりマザーファンド自体が指数に連動するのポートフォリオになっているということです。ポートフォリオを自前で組成しているというのはこういうことです。

次はETF型を見ていきましょう。マザーファンドからSBI・全世界株式インデックス・ファンドの場合は3つ、楽天・バンガード(全世界株式)の場合は1つのETFを通じて各市場の株式に投資しています。マザーファンドはETFを保有しているだけです。実際に指数に連動するポートフォリオを組成しているのはそれぞれのETFを発行している会社ということになります。これがポートフォリオを外注しているという意味です。ETF型の場合は通常の信託報酬の他に投資先ETFの信託報酬もコストとして掛かることになります。

ベンチマーク

MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス

先進国23か国、新興国24か国の大型株と中型株の約2500銘柄で構成された指数です。詳しい構成内容は下図のようになっています。

MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(除く日本)

MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックスから日本を除いた国で構成された指数です。詳しい構成は下図のようになっています。

FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス

米国、欧州や日本などの先進国、中国やインドなどの新興国、合計47か国の大型株、中型株、小型株およそ8000銘柄で構成されています。構成内容は下図のようになっています。

ベンチマークの違いのポイント

ポイント①日本が含まれるかどうか

これら3つのベンチマークの中でMSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(除く日本)だけ日本が含まれていません。その他2つの指数は日本も含まれています。

ポイント②小型株が含まれるかどうか

MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスは大型株と中型株で構成されているのに対し、FTSEグローバル・オールキャップ・インデックスは大型株、中型株、小型株で構成されているという違いがあります。そのため前者は約2500銘柄、後者は約8000銘柄となっています。

最新のコスト

最新の信託報酬、直近の決算で判明した隠れコスト、その2つから計算される実質コストについて見ていきたいと思います。

eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)SBI・全世界株式インデックス・ファンド楽天・バンガード(全世界株式)
信託報酬0.1144%以内0.1144%以内0.1102%0.212%
隠れコスト0.09%0.094%0.087%0.049%
実質コスト0.2044%0.2084%0.1972%0.261%

注)SBI・全世界株式インデックス・ファンドと楽天・バンガード(全世界株式)に関しては通常の信託報酬とETFに掛かる信託報酬を合算した値を信託報酬の欄に表示しています。

楽天・バンガード(全世界株式)以外の3つのファンドがほぼ同じコストということになりました。楽天・バンガード(全世界株式)は一つのETFで運用しているので実際の運用で生じる隠れコストは他のファンドの半分ほどと少ないですが、ファンドの信託報酬と投資先ETF(VT)の信託報酬(0.08%)の合計が大きくなるため最下位となりました。

ベンチマークとの差異

インデックス運用はベンチマークに連動する運用成果を目指すものなので、たとえプラスであってもベンチマークとの乖離が大きいのは良いことではありません。ファンド選びの際はベンチマークとの差異もチェックしたいところです。

ベンチマークと乖離する要因としては、投資先ETFの売買執行コスト、分配金に対する課税、ファンドの信託報酬などがあります。

第1期第2期第3期
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)△0.2%+0.3%現在進行中
eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)△0.3%+0.3%現在進行中
SBI・全世界株式インデックス・ファンド△1.2%△0.4%+0.4%
楽天・バンガード(全世界株式)△1.6%△0.6%△0.1%

eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)とeMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)はベンチマークとの乖離が小さく抑えられた安定運用が行われています。

SBI・全世界株式インデックス・ファンドと楽天・バンガード(全世界株式)では、第1期にベンチマークとの乖離が大きくなるなっていますが、その後改善が見られます。ETFを用いるファンドの場合はこういったこと時々見受けられます。

税制優遇制度

iDeCo、つみたてNISAは証券会社によって購入できる商品のラインナップが異なるので、どこの証券会社で購入できるかチェックしましょう。(※主だった証券会社を列挙していますが、これが全てではありません。)

iDeCoつみたてNISA
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)マネックス証券
松井証券
SBI証券
楽天証券
マネックス証券
松井証券
auカブコム証券
eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)SBI証券
松井証券
SBI証券
楽天証券
マネックス証券
松井証券
SBI・全世界株式インデックス・ファンドSBI証券SBI証券
楽天証券
マネックス証券
松井証券
auカブコム証券
楽天・バンガード・ファンド(全世界株式)楽天証券
松井証券
SBI証券
楽天証券
マネックス証券
松井証券
auカブコム証券

純資産総額の推移

総評

コストの面で見ていくと、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)、eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)、SBI・全世界株式インデックス・ファンドが0.2%程度でほぼ横並び、楽天・バンガード・ファンド(全世界株式)が少し高いといった感じです。ただし純資産総額を見ると、最もコストの安いSBI・全世界株式インデックス・ファンドは最下位であまり人気がないようです。ベンチマークとの乖離が第1期は大きかったものの第2期には改善しているので、ここまで人気に差が出る理由が分かりません。

国際分散投資という面で見ていくと、eMAXIS Slim 、全世界株式(除く日本)だけが日本の株式を含まない構成でそれ以外のファンドは日本も含みます。日本で生活している日本人であれば資産の多く日本にあり、収入も円で得ていることを考えると国際分散という目的で考えるならば日本を含まないeMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)が良いように思うのですが、こちらもあまり人気がありません。日本を含む場合でもポートフォリオに占める割合は7.4~7.5%程度なので大きな違いはありませんが、日本株式の将来性に期待している人が多いのか日本株式を含むファンドの方が人気があります。日本人としては嬉しいことでもありますが。

現時点ではeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)が一番人気です。もっとも後発のファンドであるにもかかわらず最古参の楽天・バンガード・ファンド(全世界株式)を追い越し、純資産総額トップになっています。理由としてはコストが低い、業界最低水準のコストを目指すという安心感、ベンチマークとの乖離も小さい安定した運用、eMAXIS Slimシリーズの特徴である純資産総額が増えるにしたがって信託報酬が少し下がるというシステム、多くの人が投資しているという安心感などが考えられます。

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