ご存じの方も多いかと思いますが、掛け金が所得控除になり運用益も非課税になるiDeCo(個人型確定拠出年金)という制度があります。
老後資金のためと投資目的がはっきりしている場合は、iDeCoのデメリットをほぼ気にすることなく活用のでおすすめです。
今回はiDeCoについて見ていきましょう。
対象者
20歳以上の国民年金加入者。
勤めている会社に企業型の確定拠出年金がないサラリーマン、公務員、主婦、自営業者、フリーランス等の方々。
掛金の上限
個人型確定拠出年金という名称からもわかるとうり拠出金(=掛金)の額を各人が自分で確定しなければいけません。
掛金の年間の上限額は職業ごとに以下のようになります。
- サラリーマン 14.4万円、20万円、27.6万円(会社の企業年金制度による)
- 公務員 14.4万円
- 主婦 27.6万円
- 自営・フリーランス81.7万円(国民年金基金と合算で)
下限はすべて共通で月額5000円です。
また積立額の変更は年1回可能です。
払い込み回数
年1回から12回の間で選択可能です。
確かに手数料的には払い込み回数を少なくしたほうがお得ですが、その額はわずかであり、以前お話ししたドルコスト平均法の効果を得ることも考えると年12回の毎月積み立てをお勧めします。
払い込み回数の変更は年1回可能です。
払込期間
60歳(65歳までに変更される見込みですが)までです。
年齢制限があるので、若いうちから始めたほうが次に説明する節税効果を多く受けられてお得です。
掛け金の全額が所得控除⇒節税効果
iDeCoの最大のメリットがこの節税効果です。
例として税率20%(所得税10%、住民税10%)の方が年額27.6万円の積立を行った場合、その20%にあたる5.52万円の節税効果があられます。
ただし住宅ローン控除などで、すでに支払い税額が0だったり0に近いという方の場合はこの節税効果は十分には得られませんのでご注意ください。
手数料
iDeCoの1つ目のデメリットが種々の手数料を取られるというところです。
- 加入時(初回のみ)2829円
- 掛金払い込み時(毎回)収納手数料105円
- 投資商品を保有している期間(毎月)事務委託手数料66円
- 口座管理手数料 金融機関ごとに異なる
- 信託報酬 投資信託ごとに異なる
上の払い込み回数の所でお話しした手数料というのは、掛け金の払い込み時に徴収される収納手数料のことです。払い込み回数を年1回にした場合年12回の時と比べて105×11=1155円節約になるということです。この程度の額であればドルコスト平均法の恩恵を受けたほうがよいでしょう。
口座管理料については無料の金融機関がありますのでそちらをお勧めします。
信託報酬に関しては、信託報酬が安いインデックスファンドを選択することで低く抑えることをお勧めします。
投資対象商品
一金融機関ごとに35本の投資信託がラインナップされていてその中から選択することになります。
金融機関ごとにラインナップが異なり、中には特定の証券会社でしか購入できない投資信託もあります。
購入する投資信託はいつでも変更できますし、一度購入した投資信託を売却し別の投資信託を購入する(スイッチング)も可能です。
運用益
運用益(値上がり益や配当など)が非課税となります。
通常であれば運用益に対して20.315%の課税がありますので、これもiDeCoの大きなメリットだと言えます。
受け取り
受け取り開始時期
受け取りの開始時期は60歳から70歳の間で選択することが出来ます。
逆の見方をするとiDeCoに積み立てをしたお金は60歳になるまで一切引き出すことはできません。払い込みを中止することはできるのですが、払い込みを途中で辞めたとしてもそれまでに積み立てたお金は引き出せません。60歳になるまで投資資金が固定されてしまうというのがiDeCoの最大のデメリットかもしれません。
受け取り方法
受け取り方法は次の通りです。
- 5年から20年の間で受取期間を選択して受け取る有期年金
- 一時金
- 上記2つの併用
受け取り時の税金
掛金が所得控除となり運用益が非課税になる代わりにといっては何ですが、受け取り時に課税されます。自分が積み立てたものを受け取るだけなのになぜ課税されるんだとお思いの方もいらっしゃるかもしれませんが、年金所得または退職所得として受け取ることになるので課税されます、
ただし年金で受け取る場合は公的年金等控除が受けられますし、一時金で受け取る場合は退職金扱いとなり退職所得控除が受けられるので、課税といってもかなり軽減されたものとなります。
まとめ
メリット
- 掛金が全額所得控除⇒節税効果
- 運用益が非課税
デメリット
- 様々な手数料がかかる
- 60歳まで投資した資金が固定される
- 受け取り時に課税される
以上のことを考えると、最初に申し上げたように投資目的が老後資金のためとはっきりしているのであれば投資資金が60歳まで固定されるというデメリットを気にする必要がありませんのでお勧めの制度といえるでしょう。
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