インデックス投資界の三大偉人

インデックス投資界の三大偉人 インデックス投資

今回はインデックス投資に関する本質的理解を得るには欠かせないインデックス投資界の三大偉人についてお話したいと思います。

その三大偉人とは

  • ジョン・C・ボーグル
  • チャールズ・エリス
  • バートン・マルキール

です。それぞれの代表的著作とともに紹介します。

ジョン・C・ボーグル

ジョン・C・ボーグルは投資信託会社バンガードグループの創設者で、世界初の個人向けインデックスファンドを組成した人物です。それゆえインデックスファンドの父と呼ばれています。またセント(聖人)ジャックといわれるほど多くの人から尊敬されている人物でもあります。下記で紹介している著書の中にも書かれていますが、ノーベル経済学賞受賞者のポール・サミュエルソンは「ジョン・C・ボーグルによるインデックスファンド第一号の組成は、車輪やアルファベット、グーテンベルグの印刷技術やワインやチーズの発明に匹敵するものである」と述べています。

ジョン・C・ボーグルの著作の中では「インデックス投資は勝者のゲーム」をご紹介します。

インデックス投資は勝者のゲーム

この本はジョン・C・ボーグルの最初の著作である「ボーグル・オン・ミューチュアルファンド」の後継にあたり、インデックス運用を推奨する本の集大成ともいえる内容となっています。

ジョン・C・ボーグルは2019年に亡くなっていますが、この本の第10版が書かれた2017年時点でもジョン・C・ボーグルのインデックス運用に対する強い信念が全く揺らいでいないことがひしひしと伝わってきます。

特に第3章の『インデックスファンドが長期だけでなく、毎年、毎月、毎週、そして毎瞬間必ず勝つということがわかるだろう』や『もしインデックス運用が勝つことを証明できないデータがあるとしたら、それはデータが間違っているのだ』といった文章からそのインデックス運用に対する絶対的な信頼が強く感じられます。

ジョン・C・ボーグルのの著作ではたびたび「オッカムのカミソリ」という言葉が登場します。「オッカムのカミソリ」というのは14世紀のイギリスの哲学者オッカム卿ウィリアムに由来するもので、説明が単純であるほどそれが真実である可能性が高いといういみで使われています。

説明が単純であるほどそれが真実である可能性が高いという考え方に則り、この本は非常に簡潔で分かり易く書かれています。

インデックス投資において、何か迷うことがあったり自信を無くすようなことがあればこの本に帰ってくればよいと言えるほど素晴らしい本だと思います。

因みにこの本の中で使われている勝者のゲーム、敗者のゲームという言葉は、それぞれプラスサムゲーム、マイナスサムゲームという意味で使用されており下記のチャールズ・エリスの本のなかの敗者のゲームとは少し意味が違いますのでご注意ください。

チャールズ・エリス

チャールズ・エリスはバーバードビジネススクール、イエール大学院、プリンストン大学で教鞭をとり、イエール大学財団の運用委員会委員を長年務めた資産運用の世界的な専門家です。ジョン・C・ボーグルの著書「インデックスファンドの時代」において投資について検討する素地を与えてくれた数人の賢明な執筆者たちの一人として紹介されています。またバンガード社の社外取締役でもあります。

そのチャールズ・エリスの代表作といえば間違いなく「敗者のゲーム」でしょう。

敗者のゲーム

タイトルになっている敗者のゲームとは、負ける側のミスによって点数が入るゲームのことです。この本に出てくる例でいうと上級者のテニスは勝者の素晴らしいプレーによって点が入る勝者のゲーム、それに対してアマチュアのテニスは敗者側のミスによって点が入る敗者のゲームとなります。

そして株式市場もまた敗者のゲームであるとチャールズ・エリスは言います。市場の参加者のほとんどがプロの機関投資家になってしまったために、昔は可能であったプロの機関投資家が情報量の少ない個人投資家を出し抜いて超過リターンを上げるということが出来なくなったというのです。

ここで少し混乱してしまうのはテニスの例えでは下手なアマチュア同士の試合が敗者のゲームであるのに対し、株式市場の場合はプロの機関投資家の戦いであるがゆえに敗者のゲームになっているという点です。ここを分かってこの本を読むと内容が理解しやすいと思います。

株式市場がプロの機関投資家同士の戦いとなり、なおかつ相手のミスによってのみ得点が入る敗者のゲームとなったことで、超過リターンという得点を挙げることが非常に困難になったということが解説されています。

またこの本ではマーケットタイミング戦略がいかに難しものであるかということが具体的なデータを基に分かり易く書かれています。

バートン・マルキール

ランダムウォーク理論で有名なバートン・マルキールですが、代表作といえば多くの方もご存じの「ウォール街のランダムウォーカー」ですね。その「ウォール街のランダムウォーカー」の初版において既にインデックスファンドの必要性を力説していました。「ウォール街のランダムウォーカー」の初版本が発売されたのは1973年で、ジョン・C・ボーグルが世界初の個人向けインデックスファンドを組成したのは1975年のことです。

ウォール街のランダムウォーカー

この本は400ページを超える分厚い本でありながら結論ともいうべき伝えたいメッセージはなんと”まえがき”に書かれています。「一般投資家にとっては個別の株式銘柄を売買したり積極運用される株式投信で儲けようとするよりも、インデックスファンドを購入してじっと持っているほうが遥かに良い結果につながる」というものです。

ではなぜ400ページを超えるような分厚い内容になるのでしょうか?

このことがインデックス投資において本質的理解がいかに大事であるかを示していると言えます。インデックファンドを買えばいいという表面的な理解だけなら”まえがき”を読むだけでいいのです。それにもかかわらずその後の四百数十ページを使ってなぜそうなのかというその理由を解説しているのです。

インデックス投資は長期投資が前提なので、その長い投資期間に起こる様々な出来事に惑わされることなくインデックス投資をやり通さなければなりません。そのためには本質的理解が欠かせないということです。そうでなければ途中で投資手法を変更してしまうことが起こりかねません。

四百数十ページにわたって書かれている内容は、ファンダメンタル価値・砂上の楼閣理論という株式の価値についてや、テクニカル分析・ファンダメンタル分析という株価分析の手法、標準偏差・ベータなどのリスクの解説など株式投資全般にわたる内容となっています。

非常に分厚い本で内容の高度のものがありますが、これ一冊で株式投資のことがすべてわかる指南書と言えるほど充実した内容の本だと思います。

まとめ

以上インデックス投資界の3人の偉人とそれぞれの代表的な著作を紹介しました。この中でお勧めの順番をつけるとすれば

  • 1位インデックス投資は勝者のゲーム
  • 2位敗者のゲーム
  • 3位ウォール街のランダムウォーカー

の順です。

理由はその読みやすさ分かり易さです。下位に行くにしたがってボリュームも増え内容も難しくなっていきます。簡潔で分かり易くインデックス運用に対する絶対的な信頼にみなぎった「インデックス運用は勝者のゲーム」から読まれることをお勧めします。

また読みやすさという点でいうとチャールズ・エリスとバートン・マルキールの共著である「投資の大原則」という本もお勧めです。

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